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大○巫女茶屋
〜身替り餅〜


作:mulu.w


 この話はフィクションであり、実在の店舗、人物等とは何の関係もありません。

−1−




「いらっしゃいませ」

 巫女装束のウェイトレスの女の娘が微笑みつつ(営業スマイルかな?)「おしながき」と書かれた冊子を僕に手渡した。

「ご注文が決まりましたらお呼び下さい」

 くるりと振り向くと、首の後ろで結った長い髪を背中に揺らしながら歩み去った。

 僕は商店街に新しく出来た制服に巫女装束を採用した甘味処に来ているのだ。
 開店して時間がたっていないとはいえ、平日の開店直後ということもあって、僕以外のお客はいないようだ。

 冊子を開くと、一番最初に書かれている「身替り餅コース」というのが目についた。
 ここに来るのは2度目だが、前回来た時は無かったような気がする。
 はやくも新メニュー登場?

 どんなものか気になるので、これにすることにして、

「すいません」

 さっきの娘が注文を取りに来てくれたので

「身替り餅コースを」と注文する。

 すると、数歩こちらに近付いて、僕のすぐ隣まで来た。
 身を屈めて、顔を寄せる……息が届きそうな距離で…

「お客様、失礼致します」

 手櫛で僕の頭を数度梳いたかと思うと、「それでは、暫くお待ちください」と言い残してキッチンの方へ戻って行った。

…?
…なんだったんだろう?


 注文した物が来るまで、ぼーっとキッチンの方を眺めていると…

…キッチン前で巫女さんが全員集まって何か相談してるんですけど(汗


 暫くすると、さっきの娘がお盆に餅の小皿を載せてこちらに来た。

「お待たせ致しました」

「お客様、申し訳ありませんがこちらへ付いてきて頂けますか?」

「?」

 僕以外にお客は居ないんだけど…疑問に思いつつも付いていく事にする。
 僕の目の前には白いうなじと、長い髪が左右に揺れている…
 なんとなく落ち着かない気分になって、更に視線を下に移した。
 揺れる緋袴。その陰に草履を履いた足がちらちらと見える。







 僕は店の裏に連れて来られていた。
 狭い部屋で、周りの棚にはダンボールやら、業務用の缶詰なんか並べられている。
 部屋の中央には小さなテーブルが一つ。

 僕と彼女はテーブルを挟んで向かい合っている状態だ。
 何か悪いことしたっけ?(どきどき)

 彼女は「それでは、こちらの餅をどうぞ」と小皿を差し出した。小皿には餅が2個載っている。
 僕は、手前の1個を取ると、口へと運ぶ。

「噛まずに飲み込んでくださいね」

 何だか良くわからない。
 そういう作法なのだろうだと思い、すこし強引だとは思いつつも納得し、言われるままに飲み込むことにする。
 しかし、餅を飲み込もうとするが、どうやっても喉に引っかかって飲み下せない…

………
……


苦し…

 暗くなる視界の端では、彼女が残った方の餅を口に運ぶのが見えた。


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