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クリスマス バリエーション

  
presented by
Tarota(Claus!)

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クリスマスを一人で過ごすのは侘びしいものである。
俺の名前は大山大悟。
東京の大学に行きたくて、親元を離れる事2年。
けれども、いまだに予備校通いが続いている。
来年には合格を決めないとマズイ、したがってクリスマスなど元から関係ないのだが、世間に溢れるムードに勉強する気力など起きようも無かった。
かと言って、前述のように誰と過ごす訳でもない寂しいクリスマスなのだ。
暇だ。
この時期を狙っている甘ったるい恋愛ドラマなんか見る気もしない。
ゲームにしても、積んである美少女ゲームの世界に没頭しようという気分でもない。
仕方が無い。
いつものビデオ屋に行こうと慣れた道筋を辿っていく。
すると、空き地であった筈の場所にいきなり店ができていた。
昨日今日で出来たにしては、それなりに年期の入った建物だ。
その店にはこんな看板がかけられていた。
「ビデオショップ:GOKU●AKU」
伏せ字になっているのか、『極●悪』という店名なのかは良く解らなかった。
いやいや、店名が伏せ字になっている訳もあるまい。これは店長の茶目っ気からつけられた名前に違いない。
そのセンスに脱帽すると共に、いきなり現れたこの店に興味もあったので、俺はいつものビデオ屋に行くのを止めた。
今時手動のドアを開ける。中は普通のビデオ屋と変わらない。
違うのは、並んであるソフトだった。
女の子の名前が大きくかかれ、その娘のものと思える写真が載っているだけのパッケージ。
アダルトビデオ専門店なのか!?
そう思いパッケージをよく見るが、そういうシーンは書かれていない。
普段着姿の女の子とプロフィールが並んでいるだけだ。
俺はその中からドキリとするような、清楚な美少女が描かれたビデオを借りる事にした。
何か注意事項をぶつぶつという店主のじいさんの言うことも上の空に、家路を急ぐとビデオにカセットをセットした。
砂嵐の画面だけが続いた後、やっと現れた少女が画面から飛び出して実体化する。
ビデオっ娘と過ごすクリスマスは最高なのデス。

…なんて事があったらなぁ…

そんな妄想に浸りながら、ビデオ屋への道を進んでいた。

そこの角を曲がったら…

代わり映えのしない路地を進む。

見知らぬ建物が…

角を曲がる。

目の前は空き地の筈だった…

筈なのに本当に建物が建っていた。
異次元に迷い込んだような錯覚が襲う。
妄想と同じように年期の入った建物であった。
違うのは出ている看板だ。

『すぺつアルしょっぷ』

と古ぼけた字で書かれている。
何屋だこれ?
ガラス越しに店内の様子を伺うと、薄暗い中に雑多な物が棚に並べてあるようだった。
アンティークショップか何かだろうか?
俺はますます気になり、気がつくと扉を開けて店内へと進んでいた。
整理整頓という概念と無縁の世界がそこにあった。
ガラクタと呼べそうな代物がごちゃごちゃと並べてある。
いや、並べられているという状態はこんな無造作に置くという事では無い筈だ。
乱雑な品々を呆気に取られながら眺めていると、店の奥から老人らしい声が聞こえてきた。
「ふぉふぉふぉ〜
 何かお探しのようかな…大山大悟君…」
俺は心臓がドキンと高鳴った。
今確かに、声の主は俺の名前を呼んでいた。
恐る恐る店の奥へ、声の主の方へと歩みを進める。
ガラスケースの上に年代もののレジスターがしつらえてあり、その側に一人の爺さんが腰を掛けていた。
「今俺の名前を呼んだのはあんたかい?」
「年上に話すときは敬語を使うもんだと学校で教わらなかったかのぅ?
 大山大悟君」
また言った。はっきりと目の前で。
「ど…どうして俺の名前を…」
「名前だけではないぞ…
 お主が何故ここに来たのか、何を求めているのか、全てお見通しじゃよ」
俺の背筋に寒いものが走る。
怒鳴ったり、慌てふためいたり、逃げ出したり…とにかく何かアクションを起こさなきゃならないのに体が動かない。
いや、行動を起こすのが憚れるようなそんな感覚だった。
恐らく脂汗を流しているだろう俺に対して、老人は穏やかな口調で話を続けた。
「クリスマスの日に過ごす彼女もなく、やることも無い寂しいお前にワシからプレゼントをやろう」
何時の間にか、ガラスケースの上の老人の手元にいくつかの品々が並んでいた。

 
 
 

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